蓄電技術 2012 1 8

 日本人は、我慢強いから、
昨年の夏に続いて、この冬も節電で、
がんばっていると思います。
 しかし、冬に寒さを我慢すると、
インフルエンザの可能性が高くなります。
 このような問題があるのは、
福島原子力発電所の事故もありますが、
電力を貯めておくことができないからです。
 作り置きできれば何とかなりますが、
電力というものは、原則として、貯めておくことができません。
 しかし、可能性として、蓄電する方法があります。
以前、このサイトの書評で紹介した、
斉藤勝裕氏のレアメタル関係の本を思い出しました。
 それは、超伝導を使って、蓄電するという方法です。
超伝導状態になれば、電気抵抗がゼロですから、
いったん大電流を流すと、永久に電流は流れ続けます。
 そこで、発電された電力を電力貯蔵装置に貯蔵しておくという方法です。
超伝導コイルは、電気抵抗なしに大電流を流すことができますので、
さしあたって使い道のない電力をコイルに流しておき、
必要になったら、そこから戻して使うという方法です。
このような方法ならば、電力を「貯金」したことになります。
 ただし、書くのは簡単ですが、
実際には、超伝導特有の問題があります。
これは、斉藤氏の著作にありますが、
超伝導の臨界温度は、絶対温度で数K、摂氏でマイナス260度です。
もちろん、最近は、液体窒素の温度(77K、マイナス196度)で、
超伝導状態になるものが開発されています。
実験レベルでは、160Kでも超伝導状態になるものがあります。
いずれにせよ、極低温が必要になることは間違いありません。
 次の問題点として、
77Kや160Kの「高温超電導体」と呼ばれるものの多くは、
何種類かの金属酸化物や他の元素を混ぜて焼結したものですから、
針金のようにしたり、ましてやコイルのようにすることはできません。
これが、高温超電導体の実用化を妨げているのです。
 現在、実用化されているのは、斉藤氏の著作では、
ニオブとチタンの合金です。
しかし、この合金は、もろいので、コイルにすることはできません。
そこで、この合金を銅のパイプに詰め、
銅パイプとともに延伸して針金にすることで実用化されています。
(斉藤勝裕 「レアメタルのふしぎ」  ソフトバンク クリエイティブ)
 超伝導については、難関が二つありますが、
「必要は発明の母」(Necessity is the mother of invention.)です。 






































































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